計測器のトレーサビリティに関する校正証明書の活用法について

国家計量標準へのトレーサビリティが大切なわけ

経済活動が国内だけで完結する時代から、国境を越えたグローバルに連携したものとなったことに伴い、各国の工場で製造された中間製品を組込み、最終製品化するモノづくりの形にシフトしていきました。このような製造方法をとる場合に、検査工程などにおいては中間製品の品質を共通の基準の下で試験検査をするために、計測器の精度が統一的な基準の下で管理されている必要があると言えます。これは、計測器の管理が、国家計量標準へのトレーサビリティが確保された状態で定期的に校正が実施されていることで成立すると言えます。

トレーサビリティを担保する校正証明書とは

校正事業者が発行する校正証明書に「JCSS(Japan Calibration Service System)」の標章が付されている場合は、その証明書は世界中のどこでも使えます。これは、JCSSがAPAC(Asia Pacific Accreditation Cooperation:アジア太平洋協力機構)及びILAC(International Laboratory Accreditation Conference:国際試験所認定協力機構)の相互承認協定(MRA:Mutual Recognition Arrangement)に参加していることにより、JCSSに登録されている国内校正事業者が発行する計測器の校正証明書が、世界各国で利用できる状況にあります。すなわち、多国間での商取引の促進のために、相互に校正事業者が実施した校正作業の結果を、同等であると受け入れる仕組みができている状況となります。ちなみに、このJCSS標章を校正証明書に付すことが出来る校正事業者は、「校正事業者認定制度」における「校正事業者登録制度」に基づき、審査・登録・管理されている事業者を指しています。

いろいろと便利な校正証明書の活用法

校正証明書の活用法として、品質マネジメントシステム規格であるISO9001の認証を受ける際に、規格要求事項に計測器の適切な運用に関連した内容があり、その適切な運用を実証するにあたり、校正証明書を利用した説明が可能と言えます。また、外部に委託している工程を担当する企業に対して実施する二者監査において、委託先企業の品質管理の状況を確認する際に、校正証明書を確認することで、ものづくりにおける管理実態を評価することが出来るでしょう。これらは、国内の企業同士の話だけではなく、海外の取引先企業に対しても同様と言えます。このような校正証明書の活用法により、商取引のチャンスが海外にも広がっていくことになります。

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