知識人なら知っておきたい計測器界のトレーサビリティという言葉

あなたはこんなことばをご存知でしたか

私達の日常生活において、気づかないうちに物を計測するという事が多々行われています。その計測を行ってくれる機械、器具の事を計測器と呼んでいることはもうすでに皆さまは知識としてご存知の事と思います。しかしそんな知識人の貴方でも、計測器用語のトレーサビリティという言葉は聞いた事がありますか。トレーサビリティというと一般の英語の知識として「追跡」という用語でしられているかと存じますが、計測器界においては少々一般の意味とは異なります。ではどんな風に違うのでしょう。この言葉はなんと、計測用語のJIS Z8103-2000に定義されています。「不確かさが全て表記された、切れ目のない比較の連鎖によって決められた基準に結びつけられ得られる測定結果のこと、または標準の値の性質。基準は通常国家標準又は国際標準である」とされています。一寸何のことだか頭がぐるぐるしてしまいますね。

簡単にいうとこんな風にまとめることができます

一般的なトレーサビリティといえば、例えば、郵便をだして、それがいまどこにあるか追跡することをいいます。しかし計測界においては先にご紹介した定義のように、「なんのこっちゃ」という程一般の人々の考えている用語とは違うのです。簡単にいうと「履歴を追跡する」という意味合いです。何か計測器で計測してみて、それがきちんと計測されて基準を満たしているか、という事をきちんと履歴追跡可能な状態にしておくことを指します。何故にそんなことをする必要があるのか、と疑問に感じられる方もいらっしゃるでしょう。試験場等でただ計測してそれをデータにして提出したらいいじゃないか、と考える方もいらっしゃるでしょう。しかし、今日海外などと取引をしている業界においては、そこらの町工場でおじさんが適当に測った数値では信頼性がないので、きちんと基準を決めて統一管理する必要があるわけです。同じ状況下で何度も同じ現象がでるか、或いはどんな時にこのような数値がでたか、などしっかりデータ管理し、エビデンスを記録することが大切なわけです。

社会人ならば知っておいて損のない言葉

社会人になったら一般的な知識として、この言葉は覚えておいて損のない言葉といえます。トレーサビリティは、切れ目のない比較の連鎖、測定の不確かさ、文書化などを徹底して行う事により、より確かな計測を行い、信用ある結果を導き出すものです。これによって世界のどこに出しても問題のない結果を発表することができるわけです。もし何か問題があったとしても、様々なデータが残されているので実験の履歴が残っていて追跡可能、というわけです。なかなか一般人にとっては難しいですが、計測するということは私達の生活の中では多々あります。きちんとした正しい値を求め、そのデータをもとに新な取り組みをするために、このような国際基準があるというのは安心的な事です。

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